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  • Writer's pictureHiroshi Goto

ソーシャル・セキュリティ:家族が受け取れる年金

Updated: Mar 20

夫婦のソーシャル・セキュリティを考える場合、配偶者年金(Spousal Benefits)と遺族年金(Survivor Benefits)を考慮に入れることが欠かせません。また、子どもなど被扶養家族が受け取れる被扶養者年金(Dependent Benefits)の仕組みもあります。今回のブログでは、これら家族が受け取れる年金についてまとめてみます。 


家族が受け取れる年金

配偶者年金(Spousal Benefits)

配偶者年金は、一方の配偶者の所得実績に基づいて、もう一方の配偶者が受け取る給付金のことです。配偶者年金を受け取れるのは、所得実績のある配偶者が老齢年金をすでに受給開始している場合です。


支給率は下表の通り、年金を請求する年齢で決まり、生涯適用されます。配偶者年金が最大になるのは、標準受給開始年齢(FRA)で受け取る場合で、相手のPrimary Insurance Amount(PIA)の50%です。繰り下げ受給による増額はありません。


配偶者年金

給付金を申請する際、自身の老齢年金と配偶者年金の両方に資格がある場合、2つの中で高い方の金額が支払われます(Dual Entitlement)。たとえば、自身の所得実績による老齢年金(PIA)が$1,000、配偶者の老齢年金(PIA)が$3,000の場合、67歳(FRA)での配偶者年金$1,500が自身の老齢年金より高く、こちらが実際の受給額になります(厳密には、自身の老齢年金$1,000に配偶者年金$500が上乗せされ、$1,500の合計支給額となります)。


なお、離婚した場合でも、婚姻期間が10年以上で、受給者が独身(未婚)の場合、配偶者年金を受給することができます。離婚後2年経過していれば、所得実績がある元配偶者の受給開始とは関係なく、個別に受給開始できます。

 

遺族年金(Survivor Benefits)

遺族年金は、配偶者の一方が亡くなった場合に支給されるものです。残された配偶者は、夫婦の年金の高い方を引き継ぎます。


例えば、夫85歳、妻80歳で、夫が老齢年金$3,000、妻が配偶者年金$1,500を受け取っていたとします。この場合、夫が亡くなると、妻は$3,000を遺族年金として引継ぎ、配偶者年金$1,500は、支給停止となります。


遺族年金の適用条件は以下の通りです。

・支給率は下表の通り、年金を請求する年齢で決まり、生涯適用されます。残された配偶者は60歳から遺族年金を受給開始できますが、FRAまでは減額された金額を受け取ります。FRAに達すると、受給額は亡くなった配偶者のPIAの100%になり、それ以降は増額しません。


遺族年金

  • 自身の老齢年金と遺族年金の両方を受給する資格がある場合、小さい方の年金を先に受給し、もう一方の年金が増額されるのを待って受給開始できます(先に受給していた年金は停止)。

  • 障がいのある寡婦(寡夫)は、50歳から遺族年金を受給開始できますが、やはり削減された割合(支給率71.5%)での受給となります。

  • 「寡婦(寡夫)の制限」(Widow(er)'s Limit)と呼ばれる特別なルールがあり、亡くなった配偶者が繰り上げ受給をしていた場合、寡婦(寡夫)の支給額は、亡くなった配偶者の実際の年金額、またはPIAの82.5%のいずれか高い方が上限となります。それでも、亡くなった配偶者(FRA 67歳)が老齢年金を62歳で繰り上げ受給をしていた場合、PIAの70%しか受け取っていなかったことになりますので、寡婦(寡夫)の制限が82.5%で適用されても、この状況においては有益な増額となります。

  • 離婚した場合でも、婚姻期間が10年以上で、受給者が60歳(障がい者の場合は50歳)より前に再婚していない場合、遺族年金を受給することができます。


被扶養者年金(Dependent Benefits)

配偶者以外の扶養家族も、老齢年金を受け取る親のPIAの50%を受け取る資格があります。また、親が亡くなった場合、亡くなった親が受け取っていた年金または受け取る資格があったPIAの75%を受け取る資格があります。また、親のPIAに基づいて複数の被扶養者が給付金(配偶者年金含む)を受け取る場合、家族全体の最大受給額(Family Maximum Benefits、FMB)の制限が適用されます。FMBは、計算式により、親のPIAの150%から180%の範囲です。


被扶養者の受給資格には以下が含まれます。

  • 18歳未満の未婚の子ども(高校に通っている場合は19歳まで)

  • 22歳未満で障害者となった、未婚の子ども

  • 16歳未満、または障害のある子どもの世話をする配偶者

さらに、亡くなった人の被扶養者に62歳以上の親がいた場合、その親にも受給資格があります。

 

まとめ

家族が受け取れる年金には配偶者年金、遺族年金、被扶養者年金があり、支給条件はそれぞれ異なります。総じて言えるのは、ソーシャル・セキュリティは様々な状況にある家族の生活を支えるためのセーフティ・ネットになっているということです。


年金請求の最適なタイミングは、家族が受け取れる年金も含めて検討する必要があります。夫婦に被扶養家族がいない場合でも、将来的な遺族年金の金額を考慮して、それぞれの受給開始年齢を考えることが大切です。この点については、別のブログでケース・スタディを交えて取り上げたいと思います。

 

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