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  • Writer's pictureHiroshi Goto

401(k)・IRA:RMDにご用心

Updated: Jul 2

401(k)やIRAでリタイヤ後の生活のための資金を準備されている方も多いと思います。


Traditional 401(k)やTraditional IRA*は、口座への拠出時に所得控除が受けられ(所得税非課税)、運用益非課税、そして口座からの引き出し時に所得税が課税される口座です。課税が何年も繰り延べられ、その間の運用益にも課税されませんので、税務上効率良く、資産形成を図れる制度です。特に現役時代の所得税率に対してリタイア後の所得税率が低い場合には、さらに効果的です(相対的に高い税率から低い税率への繰り延べ)。


401(k)・IRA:RMDにご用心

ただし、無制限に課税繰り延べができるわけではありません。金額としては、毎年の拠出額上限が決まっていますし(2024年の適用数値)、期間という意味では、73歳**から毎年一定額以上を引き出す(結果として所得に算入)することが求められます。これがRequired Minimum Distributions(RMD)です。もし引き出し額が毎年のRMDに満たないと、不足額に対して25%のペナルティが課されます。


* 所得税課税後で拠出するRoth 401(k)/IRAと区別するための呼び方として、一般的にTraditionalをつけます。Roth 401(k)/IRAはRMDの対象ではありません。

**2033年以降は75歳

 

Required Minimum Distributions(RMD)の期限

73歳**になる年をトリガー・イヤーと言います。基本的に、毎年12月末までにRMDの金額(後述)を口座から引き出さなければいけませんが、最初のRMDだけは、トリガー・イヤーの翌年の4月1日が期限になります。


例えば、哲也さんが今年73歳になったとします。哲也さんの今年分のRMDは、来年の4月1日までに引き出さなければなりません。今年(トリガー・イヤー)だけは、年末までにRMDを引き出さなくても、ペナルティはありません。ただし、来年は今年のRMDを4月1日までに引き出し、さらに来年のRMDを年末までに引き出すことになります。その両方が、来年の所得に算入されます。場合によっては、限界所得税率が上がったり(Tax Bracketが上がる)、ソーシャル・セキュリティにかかる税金(ソーシャル・セキュリティの税制)が増えたりすることがあるでしょう。


なお、73歳以降も雇用されていて、雇用主が提供する401(k)に加入している場合は、当該401(k)のトリガー・イヤーはその会社から退職する年になります。それ以外に保有しているIRAや過去の勤務先の401(k)のトリガー・イヤーは、73歳のままです。

 

Required Minimum Distributions(RMD)の計算

毎年のRMDは、前年末のTraditional 401(k)/IRA口座残高をIRSが定める「引き出し期間」(Distribution Period)で割って求められます。この数値は、年齢別に下表(Uniform Lifetime Table***)のように定められています。

***年齢差が10歳超の夫婦の場合は、別途Joint Life and Last Survivor Expectancy Tableを用います。


Uniform Lifetime Table

例えば、今年73歳になった哲也さんの前年末の401(k)/IRA残高が50万ドルだったとしましょう。哲也さんのRMDは、50万ドル÷26.5(73歳の引き出し期間)=18,868ドルとなり、この金額を来年(トリガー・イヤーの翌年)4月1日までに引き出す必要があります。来年のRMDは、今年末の401(k)/IRA残高と25.5(74歳の引き出し期間)を用いて算出します。


IRSの意図は、401(k)/IRAにある資産はまだ所得税が課されていませんから、持ち主の生涯にわたって徐々に課税対象に算入する(課税繰り延べであって、課税から逃れることではない)というものです。


もし引き出し額が毎年のRMDに満たないと、不足額に対して25%のペナルティ(Excise Tax)が課されます。2年以内に是正措置(本来引き出すべきであったRMDを引き出す)をとった場合は、ペナルティが10%に軽減される可能性があります。

 

フィナンシャル・プランニング上の工夫

ある程度まとまった金額のTraditional 401(k)/IRA残高がある場合には、ソーシャル・セキュリティの受給開始やRMDの時期を踏まえて、いつTraditional 401(k)/IRAから引き出すか、またはRoth Conversion(所得税を払ってRoth口座に移管)するか、前もって計画しておくのがよいでしょう。Traditional 401(k)/IRAからの引き出し、Roth Conversionのいずれも、その年の課税所得を高めることになりますので、他の所得も勘案しつつ、各年の限界所得税率(Tax Bracket)を高めないように配慮する必要があります。


リタイアからソーシャル・セキュリティの受給開始まで間があく場合、その間の課税対象となる所得が低くなりますので、税金を抑えながら、Traditional 401(k)/IRA口座からの引き出しやRoth Conversionを行う好機となります。RMDの対象になるTraditional 401(k)/IRAを少なくしておけば、ソーシャル・セキュリティ受給時の税金を抑えることにもつながります。


ただし、Roth Conversionについては、実施した年(の1月1日)から5年以内にRoth口座から引き出すと、Early Withdrawal Penalty 10%がかかることに留意する必要があります。したがって、5年以内に使う予定のない資産をRoth Conversionに回しましょう。


当社では、RMDやRoth Conversionを含めた、総合的なリタイアメント・インカム・プランニングを承っております。お気軽にお問い合わせください。

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