top of page
Search
  • Writer's pictureHiroshi Goto

日米租税条約:日本居住者がアメリカの年金を受け取った場合の課税

日米租税条約:アメリカ居住者が日本の年金を受け取った場合の課税」でリタイア後にアメリカに住んでいる人が厚生年金など日本の年金を受け取った場合、どのように課税されるか説明しました。日本とアメリカの間には日米租税条約があり、年金所得については居住地国でのみ課税されることになっています。今回の記事では、日本居住者がアメリカの年金を受け取った場合の課税について詳しく見ていきます。


日本居住者がアメリカの年金を受け取った場合の課税

 

年金は居住地国での課税のみ

日米租税条約により、日本の居住者がアメリカの年金を受け取った場合、当該年金所得はアメリカでは課税対象ではなく、日本でのみ課税されます(米国籍、永住権保持者を除く)。

 

ここでいう年金には、ソーシャル・セキュリティだけではなく、401(k)、Traditional/Roth IRA、457、403(b)、401(a)、Annuityを含みます。これらすべてが、支給元であるアメリカでは納税・申告の必要がない一方、日本の確定申告に含めることになります。

 

なお、ソーシャル・セキュリティ・アドミニストレーション、ならびに401(k)、IRAなどの口座管理機関には、Form W-8BENを提出する必要があります。これにより、非居住者が引き出した時に徴収される源泉税30%が免除されます。

 

 

日本での確定申告

はじめに、アメリカでは夫婦は夫婦合算申告を利用できますが、日本の課税単位は個人ごとになります。

 

ソーシャル・セキュリティの老齢年金、配偶者年金は、公的年金等に係る雑所得となります。ソーシャル・セキュリティの収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。


公的年金等の雑所得:収入金額-公的年金等控除額


ソーシャル・セキュリティの遺族年金は所得税・住民税非課税ですが、相続税の対象になるので注意が必要です。詳しくは「ソーシャル・セキュリティ:永住帰国後の日本での課税」をご覧ください。

 

401(k)、Traditional/Roth IRAなどは、一時金(一括)として受け取る場合は一時所得、年金(分割)として受け取る場合は雑所得になります。なお、必要経費は、本人拠出分のほか、会社拠出分も含みます。


一時所得の課税所得金額:(総収入金額-必要経費-特別控除額50万円)×1/2


その他の雑所得:総収入金額-必要経費

 

これらの所得に対して基礎控除、社会保険料控除などの所得控除が適用できます。

 

日本でソーシャル・セキュリティを受給した場合にどの程度の手取り収入となるかについては、「ソーシャル・セキュリティ:日本永住帰国後の社会保険料と税負担、そして為替レートの影響」をご覧ください。


 

59.5歳以前の早期引き出しでもペナルティがかからない?

さて、401(k)やIRAにつてアメリカで課税対象とならない意味について一歩踏み込んで考えてみたいと思います。

 

401(k)やIRAは、59.5歳など様々な引き出しの条件があり、それらを満たさない引き出しにはペナルティ10%がかかります。しかし、これはアメリカの税法上のペナルティ(Tax Returnで申告)なので、アメリカで納税・申告対象ではない以上、ペナルティはかからないことになります。これは大きなメリットです。

 

しかも、日本の所得税では「年金の受給開始日以前に支払われるものは一時所得の収入金額」とありますので、59.5歳以前の引き出しは、雑所得ではなく、一時所得と考えられます。上記のように、引き出し額が同じであれば、雑所得より一時所得の方が所得金額は少なくなります。日本の税務の詳細は、専門の税理士や税務署にご相談ください。

Comments


ブログ購読フォーム

購読ありがとうございます。

bottom of page