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  • Writer's pictureHiroshi Goto

US Frontlineコラム:大統領選と所得税減税措置のゆくえ

(この記事は、2024/7/16付け同タイトルのUS Frontlineコラムの転載です。)


6月末には大統領選テレビ討論会に行われ、11月の選挙まであと4か月となりました。前回ソーシャル・セキュリティの財政問題を取り上げましたが、もう一つ政治がらみの話題を取り上げましょう。

 

今の所得税率はトランプ大統領時代の減税措置によるものであることをご存じですか。このまま法律の定め通りに行くと、この減税措置は2025年末で期限切れとなります。


大統領選と所得税減税措置のゆくえ

 

2018年からの減税措置とは

この減税措置は、2017年に成立したTax Cuts & Jobs Act (TCJA)によるものです。非常に数多くの税制変更が含まれていますが、個人の所得税に関するものを抜き出すと以下の通りです。

  • 所得税率の引き下げ:

所得税率の引き下げ

  • 所得税の標準所得控除(Standard Deduction)の引き上げ:単身者申告$6,500から$12,000へ、夫婦合算申告$13,000から$24,000へ

  • 項目別所得控除(Itemized Deduction)の制限:State and local taxの上限引き下げ、Mortgage interestの上限引き下げ、Miscellaneous deductions(AGIの2%)の停止

  • 人的控除(Personal exemptions)の停止と Child Tax Credit(税額控除)の引き上げ:一人あたり$1,000から$2,000へ

 

 

TCJA期限切れによる影響

TCJAが期限切れになるとそれ以前の所得税制に戻りますので、増税になります。標準所得控除(Standard Deduction)は半減し、税率も多くのTax Bracketsで上がります。Child Tax Creditを受けている方は、税額控除額が半減します(一方で、人的控除が復活します)。

 

TCJA施行後は標準所得控除を利用する人の割合が高くなっていましたが、標準所得控除が半減することと項目別所得控除(Itemized Deduction)の制限措置がなくなることにより、項目別所得控除を利用する人が増えるでしょう。

 

 

パーソナル・ファイナンスへの影響

Traditional 401(k)/IRAからの引き出しは、当年の所得に算入され、課税対象になります。また、73歳(2033年以降は75歳)からはRequired Minimum Distributions(RMD)の対象になりますので、いずれ引き出しを余儀なくされます。減税措置期間中に所得に計上した方が課税額は少なくなりますので、2025年末までにRoth Conversion(Traditional 401(k)/IRA からRoth口座に移管)することは、タックス・プランニング上有効の場合があります。また同じ論理で、減税措置期間中は、Traditional 401(k)/IRAよりRoth 401(k)/IRAに掛金拠出した方が税効果が良い可能性があります。これらは自分の所得がどのTax Bracketに位置するかによりますので、個別のプランニングが必要になります。

 

資産運用については、減税措置失効後は、長期キャピタルゲイン税率(課税所得に応じて0%、15%、20%:下表は2024年)とTax Bracketsの税率の差が大きくなります。したがって相対的に、Ordinary Incomeとして課税される収益が多い債券や不動産の魅力が下がり、収益のうちキャピタルゲインの割合が多い株式の魅力が上がるでしょう。

キャピタルゲイン税率

地方自治体が発行する非課税債券(Municipal Bonds)は、利息が所得税の課税対象にならないという点では魅力が上がると思います。ただし、(Tax Bracketが高い)高所得層の投資によって利回りが下がる(価格が上がる)可能性もあります。非課税債券の利回りと、(米国債、社債など)課税債券の税引き後利回り(自分のTax Bracketを考慮)を比較して、税考慮後でどちらの利回りが優れているか判断する必要があるでしょう。

 

 

減税措置は延長されるか

ここまでいろいろ述べてきましたが、TCJAによる減税措置のゆくえは今年の大統領・議会選挙後、どのような政治判断がなされるかによります。今のところ、バイデン大統領、トランプ元大統領ともに、個人所得税の減税措置は何らかの形で延長することを政策としています。トランプ元大統領は全面的な延長、バイデン大統領は40万㌦以下の所得層は延長の方針です。一方で、TCJAによる減税措置が近年の財政赤字の主因であることも事実で、議会が延長に合意できなければ、減税措置は失効します。

 

大統領・議会選挙を控え、減税措置のゆくえを予見することは難しいです。今後の推移を見守り、減税措置が失効する確度が高くなった時に必要なアクションを想定しておくといいでしょう。

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