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  • Writer's pictureHiroshi Goto

401(k)・IRA:課税の異なる口座タイプから資金を引き出す順番

リタイア後には蓄積した資産と年金を生活の糧とするわけですが、Traditional 401(k)、Roth IRAなど課税の扱いが異なる様々な口座に散らばる資産を、どのような順番で引き出すのがよいのでしょうか。今回の記事では、この問題について整理したいと思います。


様々な口座タイプから引き出す順番

課税の異なる口座タイプ

以下のように、大きく三つの口座タイプがあります。


課税の異なる口座タイプ

課税口座は一般の証券や銀行口座のことです。すでに所得税を支払った資金が入っていて、運用益にも課税されますが、引き出すことに対しては無税です。

 

課税繰延口座は、Traditional 401(k)やTraditional IRAなどの口座で、所得税が課される前の資金が入っています。運用益も所得税非課税ですが、引き出し時にその年の所得に加算され、課税所得となります。

 

運用非課税口座に分類されるRoth 401(k)やRoth IRAは、すでに所得税が課税された資金が入っていて、引き出す時に所得税は課税されません。しかも、運用益は非課税という税制優遇があります。

 

 

どの口座の資金から引き出すか

一般的には、

  1. 課税口座

  2. 課税繰延口座

  3. 運用非課税口座

の順番です。

 

まず、なぜ課税口座が真っ先に引き出す対象になるかですが、他の口座タイプと違って運用益に課税されるので、運用効率が悪いからです。資金を取っておいて運用の複利効果を享受するには、課税繰延口座や運用非課税口座の方が望ましいです。

 

次に、課税繰延口座と運用非課税口座の比較では、課税繰延口座が先にきます。課税繰延口座は永遠に課税を繰り延べられるわけではありません。73歳(2033年以降は75歳)以降、毎年一定額以上を引き出すRequired Minimum Distributions(RMD)が求められます(401(k)・IRA:RMDにご用心)。

 

リタイア後に課税所得が低くなる時期があれば、計画的に課税繰延口座からの引き出し、またはRoth Conversionをするとよいでしょう。この場合、課税口座に優先して、または同時に引き出すことも意味があります。特に課税所得が単身者申告で$14,600(65歳以上は$1,950追加)、夫婦合算申告で$29,200(65歳以上は一人につき$1,550追加)までなら標準所得控除(Standard Deduction)の範囲内なので、口座からの引き出し、またはRoth Conversionをしても所得税が発生しません(数値は2024年)。

 

最後に、引き出し時にも運用益にも課税が生じず、RMD(相続後を除く)もない運用非課税口座は、資金引き出し優先順位の一番最後となります。

 

プランニングが大切

課税口座→課税繰延口座→運用非課税口座の優先順位はあくまで一般論で、実際には個別の事情にあわせたプランニングが大切になります。

 

個別の事情とは、年齢(RMDの開始時期)、リタイア後の資金ニーズ(生活費など)、各口座タイプに散在するそれぞれの資産額の大きさ、課税所得の見通し(少額または無税での課税繰延口座からの引き出し、またはRoth Conversionの機会)、ソーシャル・セキュリティの見込み額と受給開始時期などです。

 

ソーシャル・セキュリティとRMDの関係については、「ソーシャル・セキュリティとRequired Minimum Distributions:所得税が発生する場合としない場合」で整理しましたので、参考にしてください。

 

できるだけ課税を少なくすること、また運用効果を大きくすることを目的に、資金の引き出し方を賢くプランニングしましょう。

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